衰躯 松山晴介 Seisuke Matsuyama

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概要

「衰躯」とは疲れてグッタリした身体のことをちょいと気取って考えた私の造語です。「せけんさま」で頂点に達した私は、その後「めかけの子」という曲でわめいて歌う極限に達しました。「めかけの子」ははっきりしたメロディもコード進行もなく、複雑なリズム構成で畳みかける曲でした。しかしその曲は自分で歌っている間は気持ちいいのですが、人が聞いた時、或いは録音したものを自分で聞いた時、なんだかよく判らない唄だったのです。まあ、一昔前は、「めかけの子」というのは差別用語で、そんなものはもう何の意味もない、といった内容でした。
 「めかけの子」ができると、私は急速に自分の内面を歌うようになりました。そこまで開き直ったら心の中に映る心象風景を歌いたいという衝動が出てきたのでした。そして「バンバラバラリン」「理由もないのに」という曲を経て、「劣等ブルース」を書いたのです。それを書いた時、私はひどく安堵感を覚えたのです。ようやく自分の場所に戻ったような。
 この「衰躯」は「劣等ブルース」の次に書いた曲で、同じようなフレーズを繰り返す曲の構成を進めた形で作っています。そしてこの曲は実はあまり好きではなかったので、自分で歌うこともめったになかったのですが、その理由はこの曲が妙にリアルに聞こえたからかも知れません。そしてこの後、「奈落の恋」という曲を同様の手法で書いた後は、私はますます自分の深層意識に落ち込んでいったのでした。

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チャンネル:harrygws

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